ひと昔の前のピッチャーが投げる直球、いわゆるストレートは、「変化しないボール」というのが当たり前でしたが、最近はメジャーリーグの影響もあって、微妙に変化するストレートが流行っています。そのためストレートでも呼び名が変わり、フォーシーム・ツーシームといった使われ方をします。(フォーシームは変化しないストレート、ツーシームは変化するストレート)
フォーシーム・ツーシームは割と一般的ですが、最近では「ワンシーム」と呼ばれるボールがあり、武器にしているプロ野球の投手もいます。この記事ではワンシームとはどんなボールか?握り方や投げ方、プロ野球で武器にしている使い手についての情報をお届けします。
ワンシームとは?どんな変化をする?
まずはワンシームの「シーム」について解説すると、シームとは、ボールにある縫い目あるいは縫い目の向きのことを指します。ボールが1回転した時に、縫い目が見える数によってフォーシーム・ツーシーム・ワンシームなど呼び名が変わるのです。
フォーシームは、ボールが1回転した時に縫い目が4つ。ツーシームはボールが1回転した時に縫い目が2つ見えます。これは投げる時に握りが異なります。
そしてワンシームは、ボールが1回転した時に縫い目が1つ見えるボールで、人差指と中指を縫い目にかけず投げるため、ツーシーム以上にボールが不規則な変化することになります。
ワンシームは、ストレートの軌道ながら投げ手の利き手側に変化する傾向があり打者の手元で沈んでいきます。これはシンカーに近いような変化ですが、シンカーほどストンと落ちるボールではなく、あくまでストレートの軌道で球速もほぼ変わりません。
そのワンシームは、空振りを取ることもできますが、基本的には打者のバットの芯を外すして内野ゴロを打たせる目的で使われることが多いボールです。
ワンシームの握り方・投げ方
ワンシームは、人差し指と中指をボールの縫い目に指をかけるのではなく、縫い目を挟むように握り、親指は縫い目におき、あとはフォーシームとツーシームと同じような投げ方をします。
ポイントになるのは変化球を投げる意識ではなく、あくまでストレートを投げる意識で、ボールの握りを変えただけで後は通常のストレートを投げる感覚です。
また唯一親指だけが縫い目にあるのもポイントで、親指が縫い目にないとボールが抜けてしまいます。
プロ野球のワンシームの使い手は?
ツーシームほどのメジャーなボールではなく、まだまだプロ野球でワンシームを投げる投手は少ないですが、実は大物投手がワンシームを投げています。
ダルビッシュ有
菅野智之
山口俊
メジャーリーグで活躍しているダルビッシュ選手、日本を代表する投手の巨人・菅野智之選手、2020年からメジャーリーグに挑戦している山口俊選手などです。ダルビッシュ投手は多彩な変化球を持っていて、その時々で使う変化球が変わり、最近はワンシームを使う印象があまりありません。
巨人・菅野智之選手は、ツーシームとワンシームを併用し、最もワンシームを使うプロ野球の投手と言えるかもしれません。内野ゴロが欲しい場面や、打たせて取りたい時にツーシームとワンシームを使い分けます。菅野選手が
山口俊投手はあまりワンシームの印象がありませんが、実はメジャーリーグに移籍する前のDeNA時代からワンシームを取り入れています。
ワンシームのデメリット
ストレートのような速さで打者の手元で変化するワンシームは脅威ともいえるボールですが、デメリットとしてはコントロールが難しいというのがあります。
その理由は、人差し指と中指を縫い目にかけずに投げるために滑りやすくなるからです。コントロールが難しいからと言ってボールをおきにいってはストレートほど速くなくて、変化球ほど変化しない中途半端なボールになってワンシームの良さが失われますので、コントロールが難しくてもおきにいくようなことをしてはいけません。
縫い目にかかっている親指でしっかり固定することがコントロールを改善するポイントになります。
軟式でもワンシームは投げれる?
軟式野球でもワンシームは投げられるのか?という疑問を持つ方もいると思いますが、軟式ボールでもワンシームを投げることは可能です。握り方・投げ方も硬式ボールと同じになります。また軟式ボールのほうが縫い目に指がかかっていなくても滑りづらいというのがあるのでコントロールもしやすくなります。
ワンシームの握りや投げ方を理解しよう
ここまでワンシームとはどんなボールなのか、握り方・投げ方や、デメリット、プロ野球でのワンシームの使い手、軟式でも投げられのか?といったことについて解説してきました。ワンシームはツーシームよりも変化が大きいストレートで、内野ゴロを打たせたい、打者を詰まらせたい時に有効といえます。ただ人差し指や中指を縫い目に指をかけないのでコントロールが難しいといった面もあります。
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