野球のピッチャーの投げ方には腕の位置による違いがあり【オーバースロー・スリークォーター・サイドスロー・アンダースロー】に分けることができます。
今回はその中の「スリークォーター」にフォーカスしてスリークォーターとはどんな投げ方をするのか、メリット・デメリット、スリークォーターに向いている変化球などの情報をお届けします。またスリークォーターの投げ方で実績をあげた歴代のプロ野球選手や現在活躍している選手も紹介していきます。
スリークォーターの投手とは?どんな投げ方?
スリークォーターのクウォーター(quarter)には4分の1という意味があり、スリークォーターすなわち4分の3となり、リリース時の腕の位置がオーバースローとサイドスローの中間にあたる投げ方です。オーバースローとスリークォーターの区別は難しいところですが、スリークォーターはプロ・アマチュア問わずに最も多く使われている投法で多くの投手が採用しています。
スリークォーターの投手のメリット3つ
スリークォーターの投手の主なメリットは3つです。
・コントロールが付きやすい
・横に変化するボールが投げやすい
・理に適った投げ方で肘・肩などのからだへの負担が少ない
スリークォーターの投げ方をする投手はオーバースローのように肘を高く上げるなどのからだを無理して使う必要がないため、からだのバランスが崩れにくく、コントロールが付きやすくなります。
また腕の位置がやや斜めになるのでスライダーなど横に変化する変化球が投げやすくなります。また野球のボールに限らず人が物を投げる時の自然な動作がスリークォーターなので、肩・肘・腰などのからだへの負担が少ないといったメリットがあります。
スリークォーターの投手のデメリット3つ
スリークォーターの投手の主なデメリットは以下の3つです。
・サイド・アンダースローより個性がない
・縦に変化するボールが投げづらい
・ストレートがショート回転しやすい
スリークォーターは投手の中で最も多く採用されているため、個性がなくバッターも球の出所に慣れています。サイドスローやアンダースローのようにボールが浮き上がってくるなどの個性的な投げ方だとそれだけでチームで重宝されることがありますが、スリークォーターはそうではありません。
またオーバースローのように上から投げ下ろすような投げ方ではないため、縦に落ちるフォークやスプリット、縦に変化する縦スライダー、縦カーブなどの変化球が投げづらくなります。そして投げるボールがショート回転しやすいのもでデリットです。スリークォーターは腰から上の上半身を横回転させて投げる投法のため投げる時にからだが開きやすく、ストレートがショート回転しやすくなります。
スリークォーターの投手が投げやすい・投げづらい変化球は?
スリークォーターの投手が投げやすい変化球と逆に投げづらい変化球を以下の通りです。
投げやすい変化球
・スライダー・カットボール・シュート
・シンカー・スクリュー
・チェンジアップ
投げずらい変化球
・フォーク・スプリット
・縦カーブ
スリークォーターの投手が投げやすい変化球はストレートとより少しスピードが落ちるボールで打者の手元で横へ流れるスライダー、打者の胸元に食い込んだり、外に逃げたりするシュート、ストレートの軌道から曲がりながら落ちるシンカー、左投手が投げる曲がりながら落ちるスクリュー、ストレートの握りを少し変えてストレートの軌道からバッターの手前で少しスライダーのようにボールが動くカットボールなどの変化球です。
反対にスリークォーターの投手が投げづらい変化球は、ボールにスピンをかけずに投げることでバッターの手前でボールが縦にストンと落ちるフォークボール、フォークよりも速い球速で小さくバッターの手前でボールが縦に落ちるスプリット、スライダーと同じ方向に曲がりながら緩やかに縦に変化するカーブなどの変化球です。もちろん全く投げられないわけではなく、理論上投げずらいだけでスリークォーターの投手でもフォーク・スプリット・カーブを武器にしている投手はいます。
スリークォーターの投手が覚えたい変化球はチェンジアップ
スリークォーターの投手がぜひ覚えたい変化球はチェンジアップです。チェンジアップはストレートのように強く腕を振り降ろすフォームでボールを投げてバッターの手前でゆっくりと沈んでいくボールで、ストレートで待っているバッターのタイミングを外すのに有効な変化球です。特にスリークォーターから投げられたチェンジアップは縦の変化と共に横へ逃げるような変化が加わるためバッターからすれば打ちずらい変化球になります。
スリークォーターの【歴代】プロ野球選手
・西本聖
・伊藤智仁
・山本昌広
スリークォーターの投手としてプロ野球で活躍した歴代の選手を紹介します。スリークォーターの投手としてプロ野球で活躍した歴代の選手と言えば西本聖さん、伊藤智仁さん、山本昌広さんです。
西本聖さんは愛媛・松山商業高校から1974年にドラフト外で巨人へ入団、左足を高く上げる独特のフォームと切れ味抜群のシュートを武器に巨人・中日・オリックスで活躍しました。
山本昌広さんは日大藤沢高校から1983年ドラフト5位で中日ドラゴンズに入団、チームの左のエースとしてスクリューボールを武器に活躍し、29年間在籍して平均勝率.570、防御率3.45の成績と200勝達成投手として名球会入りを果たしています。
伊藤智仁さんは花園高校から三菱自動車京都を経て992年ドラフト1位でヤクルトソワローズに入団、高速スライダーを武器に7年間在籍して平均勝率.578、防御率2.31の成績を残しています。
スリークォーターの【現役】プロ野球選手
最後にプロ野球で活躍している代表的なスリークォーターの投手を紹介します。
・ダルビッシュ有
・菅野智之
・石川雅規
現役のスリークォーターのプロ野球選手はメジャーリーグで活躍しているダルビッシュ有投手、日本のプロ野球では菅野智之投手、石川雅規などがいます。
ダルビッシュ有投手は東北高校から2004年ドラフト1位で北海道日本ハムに入団、球団のエースとして力強いストレートに加え、ツーシーム・ワンシームといった微妙にボールを動かすことや、横に変化するスライダー、縦に鋭く変化する縦スライダー、横に急速に変化する高速スライダーなど数種類のスライダー、落ちる角度・スピードなどが違うフォークボールなどさまざま変化球を武器に活躍し、7年間在籍して平均勝率.710、防御率1.99といった素晴らしい成績を残し メジャーリーグでも活躍しています。
菅野智之投手は 東海大相模高校から東海大を経て2012年ドラフト1位で読売ジャイアンツ入団、球団のエースとして150キロを超えるストレートと抜群のコントロール、フォーク・チェンジアップなど多彩な変化球を武器に活躍し、6年間で平均勝率.650、防御率2.17の成績と沢村栄治賞に2回、最優秀防御率に4回、最多勝利投手賞に2回、最多奪三振に2回などの賞を受賞し、投手として輝かしい成績を残している日本プロ野球のエース的な存在のある選手です。
石川雅規投手は秋田商業高校から青山学院を経て2001年にドラフト自由獲得枠で東京ヤクルトスワローズへ入団、身長167センチと小柄ながらもコントロールの良さと多彩な変化球で長い間ヤクルトの中心投手として活躍しています。
スリークォーターの投げ方をチェック
ここまでスリークォーターの投げ方の特徴やメリット・デメリット、投げやすい・投げづらい変化球、現役で活躍しているスリークォーターの投手を紹介しました。
スリークォーターの投げ方に興味がある人は参考にしてみてください。
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