「オーバースロー・スリークォーター・サイドスロー・アンダースロー」。野球のピッチャーの投げ方には腕の位置による違いがあります。
今回はその中で下手投げと言われている。アンダースローにフォーカスしてアンダースローとはどんな投げ方なのか、メリット・デメリットは何なのか、アンダースローに向いている変化球は何か、などの情報をお届けします。またアンダースローの投手として実績をあげた歴代のプロ野球選手や現在活躍している選手も紹介していきます。
アンダースロー(下手投げ)って?
アンダースローはサブマリン投法・下手投げといった言い方をされます。身体を沈ませながらボールを持つ腕を折り曲げるようにして下からすくい上げるように投げるのが潜水艦が浮上するような姿に見えることからサブマリン(潜水艦)。下から投げるという意味で下手投げといった表現をします。
一時期は特に高校野球でアンダースローの投手が目立ち、甲子園に出場するチームの中には必ずといっていいほどアンダースローの投手がいましたが、最近はプロ・アマ問わずアンダースローの投手は減少傾向にあります。
アンダースローはメジャーでは少ない?
日本では減少傾向にありながらも地位を確立しているアンダースローですが、野球の本場、メジャーリーグはそうではありません。そもそもメジャーではアンダースローの投手は極めて稀です。
では、なぜメジャーの選手でアンダースローの投げ方をする投手が少ないのでしょうか。考えられてい一つは、アンダースローは身長が高く、腕が長い外国人に向かない投げ方だからです。小柄で器用な日本人向けの投げ方なのです。
関連記事:メジャーでアンダースローの投手が少ないのはなぜ?日本人向けの投げ方だから?
アンダースローのメリット5つ
アンダースローの主なメリットは以下の5つです。
・コントロールが付きやすい
・横に変化するボールが投げやすい
・下からくる軌道で打者が打ちづらい
・右投手対右打者だと出所が見づらい
・個性があってチームで重宝される
からだの重心が低く、前に大きく足・腰などの下半身を体重移動する投げ方のためボールを放すリリースポイントがホームベースに近くなり、また目線とボールの距離が近いためコントロールが付きやすくなります。さらにボールをリリースした時に肩から腕までが一直線になることもコントロールが付きやすくなる要因です。
スライダー・シュート・シンカーなどの横に変化する変化球が投げやすいのは、投げ方が関係します。アンダースローは低く構えた状態から腰を横回転させて下から腕を振りあげる投球フォームのため、横回転の変化をボールにかけやすく、オーバースローやスリークォーターよりも大きく変化します。
オーバースローとアンダースローでは投げるボールの軌道が明らかに違います。アンダースローで投げるボールは下から上に浮き上がってくるような軌道になるため、打者は打ちづらくなります。
左足を上げた後からだを沈めて低い位置からボールをリリースするため、右打者からするとボールがリリースする直前までからだに隠れて出所が見ずらくなります。
右投げ・左投げ・サイド・アンダースローなどチームの投手メンバーにバリエーションを求める監督が多くいますが、オーバースローやスリークォーターの投手に比べてアンダースローは数が少ないので、重宝されます。
アンダースローのデメリット3つ
アンダースローのデメリットとしては以下の3つがあげられます。
・右投手対左打者だと出所が見やすい
・縦に変化するボールが投げづらい
・球速が出づらい
右投げのアンダースローは左打者からは自分のからだを含めて遮るものがなく、ボールをリリースするポイントが比較的見やすくなります。
アンダースローはボールを下手投げするフォームのため縦に変化する落差の大きい変化球のフォークやスプリット、縦カーブが投げずらくなります。
オーバースローやスリークォーターよりも腕を振るスピードと振り幅が小さいことと、腰の回転が使いにくいこと、重力を使えないことなどの理由で球速が出ずらくなります。
アンダースローの投げ方と向いてる変化球
アンダースローの投げ方はアンダースローのメリットでも少し触れましたが、足を上げた後、からだの重心を前へ倒しながらテイクバックをとって、からだを低く沈めてた状態からボールをリリースするといった投げ方をします。
またアンダースローの投げ方では足を上げた後に腰・足などの上半身を大きく前へ倒すいわゆる体重移動がうまくできるかがコツになります。 他にも腰の横回転・腕の遠心力を最大限に利用すること、さらにボールをリリースした後のからだに巻きつくくらいのしなるような大きなフォロースルーができるかがコツです。
アンダースローに向いてる変化球にはピッチャーからリリースされたストレートに近い軌道のボールがホームベースの手前の打者に近い場所で急に横に曲がる変化球のスライダー、一度浮いたボールが曲がりながら沈んで落ちるシンカーなどの変化球です。
関連記事:【動画】メジャーのアンダースロー投手が投げ方の3つのコツを紹介!
【歴代】のアンダースロー投手といば?
ここではアンダースローのピッチャーとして活躍した歴代選手3人を紹介します。
山田久志さん(元阪急ブレーブス)
アンダースローの名投手といえば山田久志さん。プロで20年活躍して284勝をあげ、名球会入りをはじめ、最多勝に3回、最優秀防御率2回、最高勝率4回と輝かしい成績を残しています。
松沼博久さん(元西武ライオンズ)
プロ生活12年で、297試合に登板し、新人王・最多奪三振・月間MVPなどの輝かしい成績を残しています。
足立光宏さん(元阪急ブレーブス)
プロで21年間プレイをして187勝をあげ、防御率2.91・奪三振1482、最優秀防御率などの輝かしい成績を残しています。
【現役】のアンダースロー投手といえば?
では現役のアンダースローのピッチャーにはどんな人がいるでしょうか。現役のアンダースローのピッチャー3人を紹介します。
牧田和久選手(楽天イーグルス)
2010年ドラフト2位で、埼玉西武ライオンズに入団し、2011年から2018年までの間の平均防御率2.83、三振514個、平均勝率.052の成績を残しています。またWBCでは抑えとして3試合に登板し、防御率0.00と好投するなど小久保ジャパンを含めてWBCの3回出場。最高球速は137キロ、ストレート・スライダー・カーブ・チェンジアップ・高速シンカー・高速シュートなどの変化球を武器に活躍しています。
山中浩史選手(東京ヤクルトスワローズ)
2012年ドラフト6位で、福岡ソフトバンクに入団し、2013年から2018年までの間の平均防御率4.14、三振142個、平均勝率.0421の成績を残しています。テンポよく投げるアンダースローのピッチャーとして活躍しています。
青柳晃洋選手(阪神タイガース)
2015年ドラフト5位で、阪神タイガースに入団し、2016年から2018年までの間の平均防御率3.27、三振124個、平均勝率.0474の成績を残しています。 アンダースローながら最速147キロのストレートに加え、スライダー・ツーシーム・チェンジアップなどの変化球を武器び活躍しています。
高橋 礼(福岡ソフトバンクホークス)
2017年ドラフト2位で福岡ソフトバンクホークスに入団。最速は141キロでスライダー・シンカーを武器に長身アンダースローとして頭角を現しています。
関連記事:ソフトバンクのアンダースロー高橋礼は長身サブマリン!投球動画あり!
アンダースローの投げ方をチェック
ここまでアンダースローの投げ方の特徴やメリット・デメリットを解説し、歴代・現役のアンダースローのプロ野球選手を紹介しました。アンダースローの投げ方に興味がある人や挑戦しようと考えている方はぜひ参考にしてみてください。
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