野球のバッティングの打ち方・打法は人それぞれで、特に技術を極めた者たちが集まるプロ野球の世界では、個性的な構え・打ち方をする選手がこれまで数多く存在し、また現在も新たな打ち方・打法が生まれています。
過去を振り返ると「一本足打法・神主打法・振り子打法・すり足打法・ガニ股打法・八重樫打法・水平打法」など実に様々でまたユニークな名前が付けられているものもあります。
今回はそんな個性的な打ち方の一つ、天秤打法に注目して、どんなメリット・デメリットがあるのか、またこれまで天秤打法を採用してきた選手を紹介します。さらに最後に、天秤打法に向いてる打者についての情報もお届けします。
天秤打法とは?
そもそも天秤打法とはどのような打ち方なのでしょうか?天秤打法の「天秤」は質量などを測る時に使用する「天秤(てんびん)」からきていて、天秤のような構えから打つ打法と言うことで、「天秤打法」と名付けられました。
グリップを握る上の手をバットの中心あたりに持ってきて、右手と左手の間を大きく開けて構え、その状態からバットを小刻みに上下させながら打ちにいく打法です。この時の上下の動きが天秤がバランスをとるようなイメージになります。
バスター打法との違いは?
バントの構えからヒッティングに変える バスター打法と天秤打法は一見似た打ち方ですが、構えたときのバット位置に違いがあります。バスター打法はバントの構えからバットを引いて打ちにいきますので、構えたときのバットの位置が下がりますが、天秤打法はバスターよりもバットの位置が高くなります。
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天秤打法の選手といえば?
近藤和彦
松本哲也
近藤和彦氏は、天秤打法を生み出した選手で、大洋ホエールズ(現横浜DeNAベイスターズ)に入団、プロ野球通算16年間で、打率.285、打率部門でリーグ2位を通算4回、打率3割越えを通算で6回達成するなどの記録を残しています。速いストレートを打つための練習の際、剣道で上段に構える時の手の位置や動作からヒントを得て天秤打法を生み出したとされています。
もう一人の天秤打法の選手は松本哲也氏で、読売ジャイアンツで育成選手から這い上がり、足のスペシャリストとして俊足を活かした広い守備範囲と俊足を活かした代走要員として活躍。プロ野球通算9年間で、打率.263、盗塁65、犠打70といった記録を残しています。松本哲也氏の天秤打法は、近藤和彦氏のようにバットを頭の位置ではなく、通常のバッティングフォームと同じ位置に置いて構えたという特徴があります。
天秤打法のメリット
天秤打法にはどんなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
ミートしやすい
タイミングが取りやすい
天秤打法は、バットを立てて構えるのではなく、寝かせているので、その分無駄な動きが無いことに加えて、バットの振りコンパクトになりボールをミートしやすい。また、バスターと同じように、構えにリズム感が生まれピッチャーとのタイミングが取りやすく結果としてミートがしやすくなります。
天秤打法のデメリット
パワーが出ずらい
天秤打法のデメリットはパワーが出ずらいことです。バスターと同じような打ち方で振りがコンパクトになる分、それだけパワーが出づらく、長打は狙いづらくなります。
天秤打法に向いてる打者は?
ではどのような打者が天秤打法に向いているのかと言うと、それは足が速くて内野安打を狙える選手です。松本哲也氏のような足が速い選手は、通常の内野ゴロが内野安打になり、さらに盗塁成功で2塁打と同じ結果になることもあります。
そんな足が速くて内野安打が狙える打者はとにかく、バットにボールを当てることが重要で三振は避けたいので、振りがコンパクトでミートしやすい天秤打法が合っています。
天秤打法に挑戦してみては?
少し変わった打法の一つ、天秤打法について、メリット・デメリットや向いてる選手などについて解説してきました。「ミートしやすい」「タイミングが取りやすい」などのメリットがありますが、「パワーが出ずらい」といったデメリットがあります。足が速くて内野安打を狙いたいと言う打者におすすめの打法といえます。
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